ジャグリング検定
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段級位認定委員会
日本ジャグリング協会では段級位認定委員会を2005年に設置しジャグリング検定の創設を検討しております。組織(2010年2月17日現在)
【担当理事】
鶴見哲也
【アドバイザー】
池田洋介
【審議委員】
荒川天平、太田陽平、河田純、佐藤信春、進藤一宏、鈴木秀一郎、永島由浩、萩原大輔、森田智博
ジャグリング検定創設に関して
担当理事 鶴見哲也唐突ではありますが、みなさんは「ジャグリングにおける二世」について思いを馳せたことはありますか?その定義は人によって違うでしょうが、私の範疇ではアンソニー・ガトー、ブラディック、ガルチェンコ兄弟などが該当します。サーカス一家に生まれるということに限らず、小さいころからジャグリングに触れることのできる家庭環境にあった人も含めて私は二世と呼んでいます。例に挙げた彼らはまさに“根っからの”ジャグラーですし、技が体に“染み付いている”印象があります。それがあの正確な軌道やフォームに大いに結びついていると思えてなりません。もちろん、大人になってからジャグリングを始めた私自身もまだまだ向上を諦めていません。
さて、よくジャグラーの間で話題になるものとして「自分の子どもにジャグリングを教えるか」というものがあります。すでにジャグリングをされている皆さん、どうお考えでしょうか。私はどうするかというと・・・教えずにはいられないと思います。5ボールカスケードまではぜひマスターしてもらいたいです。なぜならば、その習得によって精神的にも鍛えられると考えているからです。最近は短い練習期間で5ボールを投げられるようになる人も目にするようになりましたが、それでもやはり5ボール習得には高い壁があると私は認識しています。事実、私には3年かかりました。何度も諦めそうになりながら、それでも自分を信じることで5ボールは習得できるものだと思います。この体験こそが人生に必要な粘り強さ・忍耐力の礎(少なくともその一部)になると私は信じます。大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、子どものときにその壁を乗り越えることで、ジャグリングに限らず、困難に直面したとき、すぐに諦めることなく、自分と戦いながら果敢に挑戦する姿勢を身につけられると考えています。
なお、私の場合、5ボールができるようになったら、そのあとは子どもに任せる予定です。ジャグリングの楽しさを分かってくれたならば自然と続けていくでしょうし、他のことに興味を持てばそれを頑張ってもらいたいです。要は一つの鍛錬のようなものとしてジャグリングを捉えているということです。もちろん、野球・剣道・柔道等、子どもの健全な育成に大いに貢献している分野は存在しています。しかし、ジャグリングはその仲間入りを果たす力を十分備えていると私は考えています。
前置きが長くなってしまいましたが、協会では、この5ボールカスケードを身につける支援を行うために、初心者を主たる対象とした「ジャグリング検定」の創設を検討しています。5ボールカスケードを最終目標としたレベル設定で、5ボールを習得する前にぜひ身につけてほしい技を下位の級に設定します。委員会を設けてこれまで5年間審議を行ってきました。ここで、現在の審議の進捗を報告させていただきたいと思います。
各級の技に関しては決定をしております。技の選択には苦慮を致しましたが、選考基準は「上位の級を身につけるために必要な基礎」そして「将来5ボールまで投げられるようになった際に自分でどのような方向性にも進んでいけるような基礎」の二つです。最終目標を5ボールカスケードにしているのは5ボールカスケード習得後の方向性を協会が限定することは避けるべきだという考えによります。5ボールを身に付けた後に進む道は無限に存在します。「6ボール・7ボールとボールの数を増やす方向」、「5ボールの技のバリエーションを増やす方向」、「3ボール・4ボールに戻ってより複雑な技を考えていく方向」、「すでに身に付けた技の“魅せ方”を考えていく方向」など。その「方向性」を「個性」を協会が限定するようなことがあってはならないと考えています。
また、なぜボールに限定をしているのかに関してですが、協会としてボールのみを推奨しているということではもちろんありません。ジャグリングには本当に様々な道具があります。それぞれの道具に魅力があり、どの道具を身につけるのかということもさきほど書かせていただきました「方向性」ですし「個性」だと思います。しかし全ての道具について検定を行うことは現在の協会の体力では不可能な状況です。まずは多くのかたが触れる道具であるボールから開始している状態です。他の道具の検定についても今後検討していく可能性もあります。
実際の開催方法に関しては、協会の人的資源の有限性を鑑み、毎年一回開催をしているジャパンジャグリングフェスティバル(JJF)のみで検定会を開催する方向で調整をしています。年に一度の検定会となりますが、JJFのチャンピオンシップ(ジャグリングの全国大会)に向けて全国のジャグラーが練習をしていくのと同じように、検定に向けて一年間練習をしていただけるような環境が整えられればと期待をしております。詳細は審議中ですので、この場では方向性のみを書かせていただきました。
なお、「履歴書に書くことができる資格」としてジャグリング検定を検討しておりますので、すでに5ボールができる方にもぜひ検定を受けていただければと思います。
最後になりましたが、将来の日本を想像してみると、本稿の最初に触れたジャグリング二世の台頭が楽しみでなりません。続々と世界に通用する二世ジャグラーが日本から登場することは間違いないと私は確信しています。ジャグリングが家庭内で行われるようになれば、現在よりもより世代を超えたコミュニケーションとしてジャグリングの果たす役割が大きくなることでしょう。そんな20年後って楽しくないですか?こうしたことを思い描きながら、ジャグリング検定の創設に力を尽くしていきたいと考えています。もちろん、そもそも創設の意義があるのかという視点も忘れずに中立的に検討していければと考えております。何かご意見がございましたら E-mail: kentei@juggling.jp までぜひよろしくお願いいたします。(2010年2月17日)