Shall We Juggle?

当コンテンツは、オフィシャルマガジン『Shall We Juggle ?』第2号に掲載された記事をウェブ用にアレンジし転載しております。

ジャグリングクラブ設立マニュアル

近年各地にジャグリングサークルが設立されつつありますが、まだまだその数も少なく、遠方のサークルにわざわざ足を運ばざるを得ないこともしばしばです。しかし、それを解消する唯一の方法があります。それは、自分でサークルを設立してしまうことです。でも、どうやって?……そんな疑問を解消する設立マニュアルをお送りします。

後藤孝一

まず、今実際に活動しているいくつかのジャグリングクラブの設立の経緯、その活動内容などをその創立に関わった人の報告を見てみましょう。

Case1:所沢ジャグリングクラブJUGFLY
代表 土田 一郎

所沢ジャグリングクラブ“JUGFLY”は、平成10年10月埼玉県所沢市に誕生した個人のジャグリング技術の向上が主な目的のクラブです。

クラブができた経緯は、平成10年7月~9月に埼玉県所沢市役所の企画で大道芸ワークショップというものが開催され、そこに集まったジャグリングに興味があった数人に私が声をかけ、クラブを結成することになりました。したがって、クラブ員は全員素人です。

創設してから何度か各学校や、公民館にポスターを掲載していただき、メンバーの勧誘をしましたが、見事失敗。ポスターをみて練習に参加していただけた方は1人もいませんでした。そこでホームページを開設し、募集をしたところ多くの方が練習にきていただけるまでになりました。また、メンバーの知り合いというかたちで練習に来てくれる方も多いです。

練習場所には所沢市民体育館柔道場を主に使用していますが、なぜその場所を使用する事になったかというと、私が昔そこでアルバイトをしていて、昔からそこで私は1人で練習をしていたからです。場所も駅に比較的近く、駐車場も広いので、練習場所にはとてもいいと思っています。しかし体育館の施設を使用する場合、無料というわけにはいきません。ですので多少料金がかかってしまいます。しかしジャグリングという普通の体育館では使用する事が困難な理由でも使用させてもらっていることには大変感謝しています。またその体育館の利用方法は私達クラブが独占して使用するわけではなく、柔道や空手を練習している方と一緒に場所を使用する事になりますので、うまく場所を分けて練習しています。

現在は中学生から社会人の方までの総勢約30名で活動しています。練習に参加しているのは毎回6~10人ぐらいですが、軽快な音楽をかけながら、楽しく練習し腕を磨いています。練習場所は所沢市民体育館を利用しています。

Case2:市原ジャグリングサークルJugJug
代表笠見 敏行

私は平成11年度千葉県教育委員会主催による「さわやかハート千葉クルーズセミナー」というものに参加しました。(9/3~9/11)クルーズセミナーは10日間船の上と中国での研修を通して、社会に貢献できるリーダーを育てるという目的で毎年行われています。(日中青年友好親善団の意味合いも持っています。)その船の中での催し物ので、私が趣味として2年前から一人で練習していたジャグリングを我々のグループ(約30名)でやることを提案し、船上パーティーで披露しました。(大成功を納めました)研修が終了してからもせっかく練習したジャグリングをやめるのはもったいないと言うことで、その時の中心となった10名ほどのメンバーで、10月にジャグリングクラブを設立しました。

当時は気の合う仲間達だけが集まる閉じられたサークルでしたがジャグリングの楽しさ・有意義なところをもっと多くの人に知ってもらいたかったので、2ヶ月の準備期間(HPの準備・練習場所の確保)をおいて、平成11年12月末に正式にHPを公開しました。

メンバー募集は以下の・HPによる告知・口コミ(一番多い)・練習場所に貼っているポスターといった方法を主としています。

練習場所の確保には苦労しました。練習場所は一般の人が参加する以上、公共施設を利用するのが一番良いと考え、近くの小・中学校(高校は一般的に開放していない)にジャグリング練習をするための場所の提供をお願いしてまわりましたが、最終的には「市原市保健福祉センター(通称アネッサ)」という学校とは関係のない施設を借りることが出来ました。練習は週に2回、水曜日と日曜日に行っています。練習時間は約2時間、思いついたことを自由に練習しています。現在のメンバーは15人ほどで(会費を取っていないので、あまりしっかり数えたことがないんですが)1回の練習は少ないときは1人、多くても5~6人ぐらいです。レベルはまだまだ低く(私の技術が低いのも原因ですが)、とても人前で見せられる物ではないんですが、みんな各自の目標を持って、楽しみながら練習をしています。

Case3:ジャグリングクラブマラバリスタ
初代代表 中嶋潤一郎

私がジャグリングに接したのは、幼い頃福岡のおじさんに3ボールのシャワーを見せてもらった時でした。あまりの感動に一生懸命おやじのゴルフボールで練習し、色々なものを壊して怒られました。おじさんの娘は、剣玉の使い手で、僕はおじさんの家に行くたびに剣玉も一生懸命練習していました。僕が個人的にジャグリングと呼べるものをはじめたのは、高校生の時に某数学のコンテストでピーターさんと出会ったのがきっかけです。今のつぶつぶの相方である本多君とは、文化祭で発表なぞしました。その後大学の関係で東京に出てきました。ジャグリングが少しばかり上達していた僕は、数学やジャグリングのことでピーターフランクルさんと時を過ごすことが多くなりました。よく大道芸の手伝いをしましたし、個人的にラクロスボールなどを手に入れて練習をしました。

大学一年生の秋頃、ピーターさんが、色々練習しているみたいだし、新しくクラブを作ればと提案されました。しかし、そのときは地方出身の大学一年生、自分でクラブを作るというのは思いもよらないことでした。

それから体育館を探したり、新入生勧誘の作戦を考えました。取り敢えず、(前述の通り小さい時に剣玉をしていたので)剣玉のサークルに、ジャグリングのパートを作ってくださいと頼みました。それで、何も分からない僕は、新入生が入学するときにチラシを配る列に参加することができたのでした。大学のサークルや一般のクラブについて全く何の知識の無い僕にとっては本当に大きな助けになりました。ですので、マラバリスタはいきなり立ち上がったと言うよりは、その剣玉のサークルに最初非常にお世話になりました。大学には歴史のあるサークルが目白押しで、練習場所を学内に設けることは不可能であったので、東京都が地域に関係の有る団体に関して体育館を開放しているシステムがあるのを知り、友人をかきあつめ、団体を登録し、体育館を借りました。体育館を実際に借りられるまでのしばらくは、閉店後の生協等を利用させてもらってました。最初の体育館練習はなんと8人でした。その中に今の事務局長(大村氏)も含まれています。

ジャグリングは、実際にボールに触れ、やってみると楽しさが伝染します。相方の本多君が入学してからは、ピーターさんと3人でいくつかの女子大などを回ってみたりしました。これが、今でもたくさんの女性ジャグラーがマラバリスタに参加する流れを作ったと思っています。あれよあれよという間に、たくさんの人がはいってくれました。1年間毎週新入りの部員がいた気がします。あまりに勢いがあったので、お世話になった剣玉のサークルからは円満に独立することとなりました。

その後は、役割、名称、練習日、勧誘方針など、事務的な事項を定めていきました。僕は、最初の部長でしたが、特に何をしたという事は覚えていません。ただ、エネルギッシュで尊敬できるたくさんの仲間が、マラバリスタを大いに盛り上げてくれました。今、設立当初のことを思い出して、一番感じるのはそこです。僕は、さっさと1年で安心して部長を引退し、その後もマラバリスタは1年ごとに部長が交代しています。個人的な感想ですが、毎年の部長はみな100点満点で、皆がそれぞれのやり方でマラバリスタをまとめ、盛り上げてくれて来ました。現在は、マラバリスタには100人を超えるメンバーがいます。それぞれのジャグリングに対するスタンスはそれぞれで、体育館にはおしゃべりしにくる人もいれば、毎日毎日個人的に集まって練習しているメンバーもたくさんいます。活動内容で、クラブとして行うのは年2回の学園祭と、毎年7月に行われるMJF(マラバリスタ・ジャグリング・フェスティバル)・・・ジャグリングのコンテストです。それ以外は、クラブの中の有志が、依頼された仕事を引き受けたり、また皆で集まって渋谷の道に出たり、旅行をしたり食べ放題をしたり・・・様々です。マラバリスタは、ジャグリング自体がそうであるように、自由な世界です。」

以上の3例からジャグリングクラブ設立の際に主に必要となることは①ジャグリングに触れるきっかけの提供②クラブのメンバーの募集③練習場所の確保、に要約されます。そこでそれぞれの条件の対処法を考えてみましょう。

条件リスト
条件1.ジャグリングに触れるきっかけの提供

自分でジャグリングクラブをつくろうと思っている人は、条件の1はクリアしていると思われます。また最近ジャグリングに人気が集まってきており、インターネット上でもジャグリングクラブや道具の販売をしているWeb-Siteがあり、ジャグリングに関する情報はここ数年で非常に手に入れやすくなりました。また日本ジャグリング協会も年に一度Japan Juggling Festivalを開催してジャグリングに触れる機会を提供しています。

条件2.クラブのメンバーの募集

これはそのクラブを大学のサークルにするか、地域の団体とするかで方針は異なってきます。前述のとおりとするのであれば大学内にチラシを掲示する、また今回のPortrateで松岡さんがおっしゃっていた通り、大学内で練習をしていれば興味のある人は自然に集まります。とりわけ新人勧誘の季節には効果的です。また大学祭などでのパフォーマンスも効果的です。地域の団体としてクラブを作る場合は条件3と平行に進めるのが効率的であると思われます。つまり最近は地域活性化のため公共施設での団体活動を広く募集する自治体が増えています。それに応じることでメンバー募集と練習場所の確保、両方の問題の解決を図ることが可能となります。

ただどちらの場合にしろジャグリングのもつ、人の前で演じる、という性質上、実際に人の前でパフォーマンスをすることがメンバー募集する上で一番の方法であると思われます。

条件3.練習場所の確保

練習場所というのが一番頭を悩ます問題であります。これは大学の団体であっても地域の団体であっても同じことで、大学の団体の場合“マラバリスタ”中嶋さんの報告であった通り大学においてジャグリングで使えそうな場所というのはすでに既存の団体で占有されています。もちろんジャグリングの練習は外でも出来るのですが、周囲の環境(天気、照明、立地条件etc)の影響を非常に受けやすく部員を集める際でも決まった練習施設があるとないとでは信用度が異なってきます。

そこで公共の施設を探すことになるわけですが、実際にジャグリングに適した練習場所とはどういうものかをまとめてみると、a.屋内で広さより高さがある。b.床が傷つきにくい。c.借りるに際して安くつく。の3つにまとめられるでしょう。aに関してはジャグリングは、風の影響を受けやすい空中で展開する技が多いので天井が高い場所の方が練習の際して制約が少なくなります。bに関してはとりわけクラブ、シガーボックス、デビルスティックなど硬い道具での練習に際して、設備を傷つけると使用をことわられたりする場合があるため木板の床より、ゴムなどの方が無難です。cに関してはやはり設立当初から高い使用料を払ってまで体育館を借りるというのはいろいろな障害が伴います。また前述の通り設備を傷つけるような使用をすると弁償が必要となる件にもなりかねません。以上3点をみたす設備としては学校の体育館、公民館、自治体のスポーツ施設、YMCA、ユースホステルが挙げられます。もし心当たりがない、実際に自分でいって交渉するのは気がひける、というのであれば、自治体の役所で住民の団体活動を扱っている部署に行って相談してみればなんらかの情報がえられると思います。

例えば“JugJug”の笠見さんは具体的に以下のような方法で練習場所をみつけました。

  • 学校の施設の使用について調べる場合は(当然ですが)学校施設管理者(教頭先生であることが多かった)にアポイントメントを取ってから訪問する。
  • ジャグリングを説明した(大道芸=ジャグリングではない、営利を目的としない、ジャグリングの有効性について等)施設利用のお願い文章を作成し、説明してまわる。
  • 体育館の利用は年度末に他のスポーツクラブ(卓球・バレー等)と話し合って曜日を自主的に決める場合が多い。また、既設のスポーツサークルの力が異様に強く、人数の少ないサークルは最初から相手にしてもらえない事があった。
  • 体育館の床を傷つける可能性があるので、どんな道具を使うかはじめに説明しておかないと、後でトラブルの元になる可能性があるので(新しい体育館の所は結構気にしていました)クラブのグリップエンドの処理などを事前にしておいて極力トラブルの素は事前に摘み取っておく。
  • 最終的には「市原市保健福祉センター(通称アネッサ)」という学校とは関係のない施設を借りることが出来ました。体育館=学校というイメージがありますが、地域の体育施設は色々あるので、探してみると意外にありました。(無料・駐車場・冷暖房完備というところが決め手になりました)ただ、毎回予約をしているので練習場所を確保できないときもたまにあります。

笠見さんの報告にある通り、新しい団体は最初にいろいろと制約をうけがちです。そのためにも、地域の活動に積極的に参加したり、すこしでも早く予約をいれたりと、工夫することで新たな道が開けるものと思います。

この記事の終わりに

この記事ではジャグリングクラブを一から作るに際して生じるであろう障害の主だったものへの対策を、具体例を交えてまとめてみました。最後に“マラバリスタ”の中嶋さんのジャグリング設立に当たっての心構えで締めくくろうと思います。

「クラブを設立し、運営するためには色々な方法があると思います。その方法によってうまく立ち上がったり、回り道をしたりするかも知れません。ただ、僕が一番大事だと思うのは、設立した人、初期の参加者が作り出す雰囲気だと思っています。そのクラブの参加者にとって、そのクラブが居心地の良い、かつ刺激的な空間であれば、運営や告知、事務的な作業は小さな問題になるでしょう。もちろん、それが一番難しいといわれればそれまでですが、ジャグリングには、それを実現することのできる深い魅力があります。人を集めたい!と思っているクラブの方もたくさんいらっしゃるでしょうが、あんまりそれを目的にするのではなく、今あるクラブを楽しんで頂ければと思います。楽しいクラブには自然に人が集まってくるに違いありません。」